マラッカ航海日誌補遺

「日付のある紙片」の過去記事。船便のためかなり遅れて届きます。今日のニュースと書いてあっても一ヶ月前の出来事であったり。速達は<a href="http://iscariot.cocolog-nifty.com/kuantan/">日付のある紙片</a>

サラブリ Saraburi

5月19日。

朝9時近くホアランポーン駅まで歩いていき、10時05分発の東北線エアコン車、サラブリSaraburiまでのチケットを買う。今日はサラブリまで。

駅のダンキンドーナツのコーヒーがまずい。豚肉の臭いがしみついているような変な味。どこかで豚料理の油が混じるのかもしれない。

駅構内は一応冷房が入っている。

ホアランポーン駅で久しぶりにトゥドゥンをつけた女の人を見る。正直言ってなんだかホッとしてしまう。

このあとカンボジアを経てまたマレーシアに戻るつもり。シエムリアプも毛唐だらけだろうし、またエゲツナイ光景を見なければいけないかもしれない。

ホアランポーン駅の構内のスクリーンでは、いろいろな番組やCMの間に、なかなかよくできた国王翼賛CMをやっていた。

オーケストラの指揮者の位置に本物のタイ人画家らしい人がいて、国王の肖像画を書いていく。その絵の完成に合わせるようにオーケストラが奏でる様子(音はない)。その合間合間にさまざまな国民の営みがちりばめられる。素朴でたくましいタイの農民が大地に鍬を入れ種を蒔き・・・・仏教の僧侶はもちろん、モスクでの礼拝らしい光景もでてくる(ただし立っているだけで跪かない。跪けば何に跪いたかが当然問題となるからだろう。モスクが映っているのだから国王は問題外、しかし、国王翼賛CMで国王の帰依する仏教でなく国王をはるかに超越した存在に・・・ということになるとこれまたまずいだろう)。出来上がっていく肖像画は国王そっくりの立派そうな油絵である。いかにも国民の心を国王の下にひとつにしていくという感じがよく出ていて、思わず引き込まれそうになる国家CM。しかし、現国王個人の顔をあんなに強調していてはかえって先が思いやられるというもの。

タイを旅して感じるのは、けっこう大きな国だということ。この民度で統一を保つのには大きすぎる国土である。現国王亡きあとは、分裂するか、または、ますますアメリカ丸抱え、米軍丸抱えの国家になるしかないだろう。アメリカの本丸は米軍かもしれない。結構なことではないか。

プミポン国王は賢明な君主である。中国のような場当たり的なハニートラップ外交などは指揮しない。

世界が白人支配の下にあることは揺るがないこと、最強国の米国の本質は白人国家であること、米国の本丸は米軍と諜報コミュニティおよび教会であること、などをよく見定めた上で、白人を自国に構造的に組み込んできた。米軍と、それ以上に米国諜報機関および白人キリスト教ミッショナリーに特権を与えて自国内での自由かつ積極的な情報活動・宣教活動を許してきた。しかし、それだけではない。

プーケットやパタヤにいる米帰休兵に幼女を抱かせているのも、深慮遠謀があってやっていることかもしれない。幼女買春は10年前ならありふれたことだったかもしれないが、今では国際的に一級のタブーである。だからこそ、米兵には特別にそれを勧め、役人たちにも笑顔で容認させて、クセにさせ、その事実をしっかり押さえておいてアメリカのキン○マをつかんでしまおう、という英明な国王の知恵なのかもしれない。軍事クーデターは、それで人が死のうが死ぬまいがそれ自体、アメリカの主張する「普遍的価値」である「民主主義」に真っ向から反するものであるが、米政府もほとんどタイのクーデタを批判しなかったし、これを批判する政治家もいない。

出発時間間際に汽車に乗りこむと、もうエアコンも入っていて客も大方乗っていた。

自分の席を見つけると、真後ろの席に毛唐オヤジが乗っていて大変臭い。ハズレだった。

加齢臭に加えて、バターというより古い油の臭いのような、ねっとりと甘ったるくその上少し酸味も利かせたような強烈かつ複雑な臭い。それに香水の臭いも混じる。

タイ東北線は、同じセカンドエアコン車でも南部線に比べると車両がかなりぼろくなる。合皮のシートですわり心地が悪い。南部線のような食事用テーブルもない。そしてディーゼル軌道車だった。時間が来ると鐘も鳴らさず黙って発車。

東北線のエアコンの効きはかなり悪い。少し暑い。南部線は効き過ぎもせずちょうどいいくらいだった。

車が走り出すと後ろの毛唐の体臭がさらに強く臭って来た。臭うなどという生易しいものではなく、強く張り出してくる感じ。列車が自分の席からみて後ろ向きに走っているので、臭いが風に流されてくるのかもしれない。しかし甘酸っぱく脂っこく香水の混じった、逃げようなく粘りつく臭気。サラブリまで2時間は我慢しなければならないだろう。前の席のタイ人客が椅子を倒してきたが、こちらは椅子を後ろに倒すこともできない。嗅覚というのは慣れやすいものだといわれているが、この毛唐のにおいはますます強くなっていき、しまいに頭が痛くなる感じである。

今日はサラブリまでにしておいて本当によかった。この毛唐がどこまで行くか知らないがSurinまで買っていたら一日中この臭気と付き合わなければならなくなるところだったかもしれない。

汽車は定刻通りに発車してほぼ定刻にドンムアンを経由。東北線も2等エアコンには食いもの売りは来ないようだ。物売りが来るのは3等車だけなのだろうか。それとも前から来なかったのか。記憶があやしくなってきた。以前は好んでノンエアコンの3等車に乗ったりした(しかしとくに北部線ノンエアコンは毛唐が多かった)。ノンエアコン車では窓からでもいろいろな食い物を買えた記憶がある。

客車に大きなパソコンを担ぎ込むタイ人客もいる。

東北線は弁当がつかない。南武線2等エアコンは昼の列車には昼食の弁当がついた。同じ2等エアコンでも東北線はつかない。そのかわりに係員が注文を取りに来てみんな金を払っている。私はサラブリまでだし後ろの毛唐の臭いがひどいこともあり何も注文しない。

定刻通りにアユタヤを経由。

バンコクからサラブリまでの汽車賃266バーツ。値段は結構高い。食い物が何も出ないのが今度はちょっとさびしいような気がした。定刻通り正午ごろサラブリ着。

サラブリについてみると、すごい田舎町という感じだった。泊まるところがあるのかどうかと思うくらい。サラブリという名前からしてモンMonの町だが、身なりもまるでカンボジアのようなおばさんが目立つ。

バイタクで町を移動してみるとそれなりに大きな町だった。しかし、街中で見るのはほとんどタイ文字だけ。ローマ字も漢字もほとんど見ない。かなり大きな構えのホテルでもタイ文字看板のみで、私には「ロングレーム」というタイ文字がようやく読めるという具合。ロングレームだけの看板も見かけた。

大変暑い。この日は雨もまったくふらなかった。まるで乾季のようである。こんなに暑いことは南部ではないと思う。

バイタクでホテルを2軒見る。ホテル代は高い。どちらも今までに見たタイのホテルとは雰囲気が違う。不思議な感じの宿。

最初に行ったのは駅の正面のほう。エアコン350バーツの部屋があるということだったが、係り員に連れられて部屋を見に行くときにエレベーターが故障。エレベターの中にしばらく閉じ込められ、扉をこじ開けてようやく出してもらった。怖くなって部屋も見ずに逃走。変に豪華そうで安っぽい、国籍不明な雰囲気のあるホテルだったが、看板はタイ語のみ。こんな雰囲気もベトナム戦争の名残なのかどうか。

エレベーターに閉じ込められたときは案内係と雑用のおばさんとが乗っていたが、どちらもまるで緊迫感がなく、案内係はのんきに携帯をいじっている。おばさんは暑い(ローン)とか言っているだけ。私が案内係にせかすとようやくフロントに電話したようだった。

最初はさほど怖くなかったが、エレベーターに閉じ込められて恐怖症になるという話を思い出し、恐怖症になったらどうしようと思ったらだんだん怖くなってきた。今もし火事が起きたら。いや、こういうときにかぎって火事は起きるもの。バンコクで泊まったホテルのエレベーターも調子が変だったし・・・・などといろいろ考えてしまった。

結局駅の裏手のマーケットを通り過ぎたところの大通りにあるホテルの400バーツの部屋にチェックイン。バスターミナルの正面の「旅社」の表示のあるホテル。

このあたり、町で見かける女の人たちは、みごとにぶっこわけた感じの顔立ちの女性が多い。個性というやつか。たいていの毛唐が連れている女たちの予備軍のような容貌の方が多い。バンコク7月ロータリー付近で親切に道を教えてくれるお姉さん方の予備軍のようでもある。

そういえば、トゥクトゥク(タイのオートリクシャ)は廃止されたのだろうか。今回はまだ典型的なトゥクトゥクは一度も見ていない。あれは確かに排気ガスと騒音の元。危険でもある。ホアランポーン駅の近くで手作り的なサイドカー付オートバイは見かけた。

ホテルのすぐ近くにゲームネット屋を見つける。地元の子供ばかり。

  1. 2007/06/03(日) 21:23:38|
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