頭にタオルを巻いて「シェムリ、シェムリ」と連発しているバックパッカーを見ると(どこの国のとは言わないが)その場で透明人間になりたいくらいに恥ずかしいものである。
私が聞き取った限り、現地発音は「スィエム・レエプ」に近い。「スィ」に強調がくる。ポイペトの人たちはシエムレアプ出身という人を含めてそんなふうに発音していた。
ただツーリズム関係者は「リアップ」みたいに発音することが多いようである。シエムレアプに近づくほど「シエムリアップ」みたいに発音する人が増えるように感じた。
スィエムとは「タイ」「シャム」のこと。カンボジアではいまもタイのことを「スィエム」と呼ぶらしい。
タイの馬鹿な女優が「アンコールワットはタイのもの」という発言をして政治問題になったことは記憶に新しい。このあたりまでシャム領(アユタヤ朝)だったことはあるが、アンコールの時代でないことは言うまでもない。シャムの主要部分がクメール国家の領土だった時代の方が長いだろう。
7月9日。
ポイペト、Long Senglyゲストハウスをチェックアウト。午前9時すぎの乗り合いタクシーでシエムレアプに向かう。Long Senglyの無愛想な男が車を呼んでくれる。特にぎゅうぎゅうづめというわけではなく、普通の日本車に5人乗り。他の客はカンボジア人の女の人ばかりだったので助かった。
ポイペトには17日間も滞在してしまった。
ポイペトからシソポンまでの道は悪い。かつてはここをピックアップトラックの荷台に乗って行ったりしたが、今では地元の人もそんなことはしないようである。
途中、"Absolutely against child sex tourism"という大きな公共広告の看板があった。
「コンドームをつけましょう」よりはかなり進歩したといえる。
地雷原の標識も見なくなった。地雷はほぼ撤去されたのだろうか。牛が出ますという絵入りの標識はある。
1時間以上かけてようやくシソポンを通過。
本当に道が悪い。いい加減なコールタール舗装が却って道を悪くしている。
シソポンは役場や学校が少しあるだけの小さな町。通り沿いにゲストハウスも何件かある。
シソポンを過ぎると舗装はなくなるが、道はかえって良くなる。車はスピードを上げてくるので揺れることには変わりはない。
11時半ごろ休憩。レストランなどしょぼいがツーリストずれしていて英語でぼってくる。韓国人ツーリストを2、3見かける。
カーステレオがカンボジアの歌謡曲を流している。どこかで聞いたような曲も。「イタコノイタロー・・・・・」というのをゆっくりに編曲してカンボジア語の歌をかぶせたものだった。もちろん日本の歌などという認識はないだろう。初めてポイペトに来たころ、バラックのカラオケ屋で「北国の春」をがんがんかけていたのを思い出す。ポイペトのマーケットの祭日の夜のステージショーでは「ルージュ」モドキで歌って踊っていた。「ルージュ」を編曲して現地語の歌をかぶせたのは、カンボジアでもミャンマーでもチェンマイのプールバーでもよく聞いた。フランス語の歌詞をかぶせた「ルージュ」というのも聴いた記憶がある。
午後1時ごろシエムレアプに入る。急に道がよくなる。
立派なホテルが並んでいる。ハングル文字の看板が目立つ。病院の前には大きなデング熱の警告看板が立っている。
シエムレアプに来るのは5,6年ぶりの2回目。今回はガイドブックも地図も持っていない。車を降ろされたところはどうもシエムレアプという感じのしないところだった。
まずマレーシアに戻る航空券を買ってしまおうと思い、旅行代理店を探すが見当たらない。適当なホテルのフロントで聞くと、親切に教えてくれた。「ダウンタウン」のほうに行けば旅行代理店がたくさんあるということだった。地図ももらう。
バイタクで適当に「ダウンタウン」を目指す。ダウンタウンと言っても通じないので、適当に指であっちの方と指図する。
予想したとおりだが、「ダウンタウン」はあちこち毛唐だらけ。といってもチェンマイほどではない。そしてハングル文字だらけ。
安くてよさそうな場所、感じのよさそうなゲストハウスなどには必ず毛唐がご主人様然とふんぞり返っている。観光地だけに、タイのクズ毛唐とも一味違ったエラブリがある。
泊まるところを決める前に旅行代理店に入って航空券を買う。
クアラルンプル行きのチケットを手続きしている間に、若い中共中国人のカップルが入ってきた。赤い星のついたそろいの帽子をかぶっている。愛国無罪丸出しといった体。
若い女のほうが横柄な口調の慣れた英語でどんどんと突っ込んでくる。タイ国王がぶら下げているような大きなカメラを首から提げている。
ダサい百姓といった感じの連れの男ともども「チャンコロ丸出し」なカップルである。
クンミン(昆明)までの航空券を買いたいらしい。自信たっぷりの英語だがしゃべることは知れている。
「いくらだ」、(店の人が金額を提示)、「負けられないのか」(とにかく口調が攻撃的)・・・
店の人はむっとした顔で否定。すると諦めよく出て行った。
中国人らしい割り込みだが出て行くのも早かったので助かった。いつまでも場をひっぱって長居しないだけ毛唐よりは実害が少ないといえるかもしれない。
クアラルンプルまでの片道チケットを買うのに少し難儀した。国籍にもよる。最初は往復か帰り旅券がなければだめだといっていた。しかし、マレーシアにはいつも片道で行っているとしつこく言うと航空会社に問い合わせてくれた。
日本人であることをパスポートで確認し、航空会社(マレーシア航空)に電話で旅券番号などを伝える。旅券のコピーもとる。結局、空港で500ドル提示すれば片道でも可、ということで片道チケットを売ってくれることになった。
店の人は最初、KLまで145ドルという数字を出していたが、135ドルに負けてくれた。こちらからは負けろとはひとことも言っていない。向こうのほうからニコニコと負けてくれた。135ドルが良い値なのかもしれない。余っているタイバーツで払う。バーツ両替レートはなんと1ドル30バーツ。135ドルで4050バーツである。このレートはちょっと良すぎる。今1ドル35バーツ弱だろう。
いずれにしても、あの英語の達者な大陸中国人カップルはこの店で相当邪険に扱われたようだ。英語も日本語も(タイ語もインドネシア語もネパール語も)片言しかしゃべれない日本人の私との扱いの差が顕著であることに驚いた。
Author:Kuantan
http://iscariot.cocolog-nifty.com/kuantan/
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