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マラッカ航海日誌補遺

東京

8月8日。

1年ぶりに新宿の街に出てみる。

意外なことにブスな人が多かった。

2、3年前は外国から帰ってくると、日本はなんて美人ばかりなのだろうと思ったものなのに。

今日は顔のぶっ壊れた人を何人も見た。

ひとことで言えば「青白いイサーン」。そのうえ姿勢も歩き方も悪い。

外国にいるときは英語がうまく話せないと思っていたが、日本に帰ってみたら日本語もろくに話せないことに気づいた。


日本語の発音がおかしい。はっきり話そうとするとケンカしてるようになってしまう。

           
鬼束ちひろのCDを買うために街に出た。

持っていたのだが、不在にしているうちに消えていた。

"my latest obsession"である「infection」をすぐ聞きたかった。

新宿にあったレコード屋はなくなっていた。高田馬場のレコード屋はまだ健在だった。

鬼束ちひろのDVDとCDをいっしょに買う。死ぬほど恥ずかしい。

恥ずかしさを一回で済ますためにまとめ買いすることにしたのだが、それがかえって、恥ずかしさを2倍3倍にする結果になった。説明しても意味がないことだが。

学生のころ、今では違法なものを含めて過激な雑誌やある種の写真集がコンビニにたくさん置いてあった。たまに見たいことがあり、とても恥ずかしかったものである。

しかし今回はそれ以上に恥ずかしかった。

自分がどこかこの都会になじんでいないこともわかる。

キャッシャーは若い男と女だった。「鬼束ちひろ」を受け取り、つり銭を受け取るときに手が震えて小銭を床に落としてしまう。落ちた小銭を拾わないわけにもいかない。恥の時間をさらに長くした。

   
歩道橋の上でセミの屍骸を見つける。ああ日本なんだなと思う。

住宅街に住む白人は着実に増えている。脅威である。

いつも帰国するときに比べて日本が少し色あせて見える。なぜか、女の子がかわいくなくなった。きれいな子も少ない。日本の女の子のかわいさ、きれいさを支えていた「何か」が弱くなっているのか?

          
ところで、鬼束ちひろの「infection」について。

この曲は疑いのない名曲だが、リリースされたのが2001年9月7日だった。

歌詞が

「爆破して飛び散った心の破片が そこらじゅうできらきら光っているけど いつの間に私はこんなに弱くなったのだろう」

など、暗示的すぎるため、プロモーションが11月まで自粛されたということである。
     

9月11日 アメリカ同時多発テロ事件が発生。奇しくも4日前の9月7日にシングル『infection/LITTLE BEAT RIFLE』が発売されたばかりであったが、「infection」の歌詞の内容に事件を髣髴させるまるで予見していたかのようなフレーズがあるということから、事件から2日後の9月13日に東芝EMIより楽曲のプロモーションを自粛するという声明文が発表された。プロモーション活動は約1ヶ月半自粛され、プロモーションビデオさえもオンエアされず、代わりに両A面となっていた「LITTLE BEAT RIFLE」で同作品のプロモーション活動を行うこととなった。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AC%BC%E6%9D%9F%E3%81%A1%E3%81%B2%E3%82%8D

  
もちろん鬼束ちひろがなにかを予言したなどということではない。

しかし一般的に言って、優れた芸術家がその時代の根底に横たわるはっきりとは見えない動きを、まったく無意識のうちに、直感的に捉えて表現する力をもっていたとしても不思議ではない。

「鼓動を横切る影が また誰かの仮面を剥ぎ取ってしまう」

「私の愚かな病は だんだんひどくなっていくばかり」

「あらゆる小さな熱に 怯え始めている私に 勝ち目などないのに」

「いつの間に私は こんなに弱くなったのだろう」

アーチストは天才でなければ意味がないと思う。天才は努力で獲得するものではなくて、「降りてくる」ものであり、「せざるをえない」ものだと思う。
    

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