3年ぶりのネパール。
1月29日。
相変わらず露天降りのトリブヴァン国際空港に降りる。
飛行機から出たとき、いつもならその瞬間に感じるあのネパールの匂いがしなかった。私の鼻が鈍くなったのか、ネパールの匂いが薄れてしまったのか。
閑散とした空港。中国人客目当ての客引きが目立つ。
3年前まではゲストハウスの客引きがタメルまでただで乗せてくれたが、今回はゲストハウスなどはそういうサービスはもうやめているようだった。
以前は目当てのゲストハウスの名前を叫ぶだけで誰かが寄ってきた。宿からコミッションを取っていたのだろうが、それでいつもタダだった。
今回はどうしてもそういうわけには行かず、タメルまで定価400ルピー、相乗りなら200など。
相乗り客を10分ほど待ち、200ルピーでタメルまで行く。相乗り客は前払いをしたらしかった。いくら払ったかもわからなかったし、あえて聞かなかった。
渋滞だと言う口実でタメルチョークの手前で降ろされる。一瞬地理がまったくわからなくなった。しばらく歩いているうちにだんだん思い出してきた。
カトマンドゥは今よく冷えている。震え上がるほど寒い。風もよく吹いている。薄いセーターを一枚持って着てよかった。体の芯からガタガタ震える体験は久しぶりだ。水は昼間から手が痛くなるほど冷たい。
ネパール人は東南アジア人に比べれば親切で感じが良い。今回はそれを強く感じた。
どこでもそうだが、白人ツーリストが多いところはどうしても「土人式」になる。
とはいってもネパールの場合、そういう金になる場所で働いているのはバウンやチェトリが多く、顔が白人に近かったりすることもあって、土人式へつらいの白人崇拝というよりはカースト意識からくる同族意識に近いものを感じているのかもしれない。
アムステルダムやウィーンあたりから直行便で来るやつはひどい白人が多いだろう。そういうのを中心に相手している業者も多いはずである。ドイツ系には「アーリア人は優秀だからインドやネパールでも上位カーストなのだ」というような理屈を喜ぶ者も多いようだ。そういうことをアーリア系のネパール人から言ってもらったり、言いあったりして喜ぶのであろう。(「アーリアン」という表現はネパールでは普通に使う英語である)。ドイツ系の人間で仏教やヒンドゥ教に関心を持つ者の動機には、アーリア人至上主義や反ユダヤ主義が潜んでいることがある。ドイツ人が書いた「イエスは仏教徒(でアーリア人)だった」という趣旨の本が日本でも翻訳出版されているが、これらの動機がにじみ出ていた。
しかし、タメルThamelからジャータJyatha、アサンAsanなどを久しぶりに歩き回って感じたことは、やはりカトマンドゥの強さ。
カトマンドゥはこれだけ観光に依存し(実は日本などからの援助が第一収入源だろうが)大量の白人ツーリストを集め、誰もが英語を話せるにもかかわらず、決して毛唐力に負けてしまうということはない。毛唐力に負けない強さを持っていると思う。
もちろん毛唐にこびるやつは大いにこびているし毛唐の茶坊主のようなのはツーリズムにはいくらでもいるが、それでも全体としてみるとカトマンドゥは独立していると感じる。東南アジアのように全体として毛唐に身も心も捧げてしまっているということはないと思う。
3年前に出たときと同じゲストハウスに入った。
驚いたことに、3年前にゲストハウスのストアに預けて行った荷物をそのまま保管してくれていて、受け取ることができた。キャリーバッグとビニールバッグ。
3年間音沙汰なし、電話もメールもしたわけではない。まず無理だろうと思って半ばあきらめていた。ちょっと信じられないことだった。
失くしてしまうには惜しい本などを入れていたキャリーバッグは、鍵もかけておかなかったがまったく荒らされていなかった。ビニールバッグの方はネズミに食い荒らされて中がネズミの糞だらけだった。こちらは衣類などだったので全部捨てた。
ゲストハウスのボーイと話をした。この男はバウンで、トリブヴァンに通っていて英語はもちろん良くできる。マレーシアに出稼ぎに来ているネパール人たち、飛行機で一緒だった連中の話をすると、「マレーシアなどに行くネパール人やインド人は教育がない人たちで、教育がある人たちは欧米や日本やオーストラリアに行く。だからマレーシアのネパール人は差別されるのだ」などと言っていた。「オーストラリア」は余分だと思ったが。
空港
Author:Kuantan
http://iscariot.cocolog-nifty.com/kuantan/
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