「朝貢外交」というのは、「中華」の側からいえば、「辺境の地からこの世界の中心の都へよくやってきた」といって野蛮人の王たちを手厚くもてなすことにより、「天子の徳」をあまねく天下に知らしめるというものである。
この観点からみると、今回のタイ国王戴冠60年式典における、タイ国の両陛下にたいする待遇は「朝貢外交」以下であったといわなければならない。
小中華王国を目指すタイだが、「中華」の真似事をするには蛮夷にすぎたようである。
昨日、両陛下はバンコクに到着されたが、空港に出迎えたのは皇太子で、国王との接見は今日が初めてになるはずだった。
「御座船行列」のおこなわれる今日の夕方、国王と王妃は宮殿の広間に椅子をしつらえて各国の王族を迎えた。
私はいまタイの深南部の町にいて、この様子を先ほどホテルのテレビで見たところである。(正式の会見は別に行われた。その実況は見なかったが、録画で後に流していた。これは船見物の前の私服での挨拶の場面だったようだ。)
国王と王妃の椅子の周りには、例の口をいつも半分あけている王女ら女性王族たちが絨毯の上にべったり女の子すわりをしてだらしなく待機している。これは、彼らの風習なのだろう。
招待された王族は二十数カ国。順番に宮殿(?)に入って行き、国王、王妃と握手をし、王女らと挨拶する。
王女らの挨拶の仕方が相手によってまったく違うのが、いかにもタイらしい。相手が国賓でも常に格付けをして態度を変えるようである。
天皇皇后両陛下が宮殿(?)に入られたのは、最後から2番目だった。最後はスウェーデンのグスタフ国王。
ところが、両陛下が入場される直前に、タイ国王、王妃は席を立ってどこかに行ってしまった。王女たちもばらばらになっている。
国王がいなくなると、広間はいろいろな人が歩き回るようになり雑然としてきた。
陛下が入場されたときの宮殿広間はまるで立食パーティの会場のようだった。
両陛下は、空いた椅子が二つ置いてあり、人がばたばたと歩き回る雑踏の中を進まれたが、一瞬どうしていいのかわからないというふうに戸惑っておられたと思う。
王女たちもろくに挨拶しようとしない。国王がいなくなって、すべての当事者が義務から解放されて何もしなくてよくなったという雰囲気だった。
タイ国王は、おおやけに両陛下をお迎えすることなく、御座船行列のほうに移っていったようである。
私はここに何度も書いたが、両陛下、ではなく、日本政府はこの式典をはじめから辞退すべきだった。
王室を批判する言論の自由もない以上、民主主義国家とはいえない。
政治情勢も不安定で、人身売買、売春ツーリズム、少数民族問題、南部問題をはじめ人権問題も深刻な国であり、辞退する理由はいくらでもあったはずである。
タイでは、外国企業に対する特権付与や不利益な規制に関して、行政の任意の裁量の幅が大きいといわれている。
現実には、欧米企業が日本企業以上に特権を与えられていて、タイの日本商工会議所が「日本企業も欧米企業並みに扱っていただけるよう」とタイ政府に陳情したりしているという(2,3年前にバンコク週報で読んだ記事)。
日本政府がタイのくだらない自慰式典に、ハードな日程を作って天皇陛下を無理やり出席させて恥をかかせたのも、タイに投資している日本の経済界からの要望によることなのかもしれない。
タイのテレビが天皇を映す時間は本当に短い。たまにちょっと出るくらいである。
映している時間も短くアップもない。東北アジアからは唯一の賓客なのだが(そもそも東アジアにほかに王朝がない)。故意に短くしているとしか思えない撮り方である。
これに対して、北欧の王族などはアップで長々と映している。タイ人の出稼ぎ先であるせいかアラブの王族も結構重視されている。
カンボジアはやっぱり軽んじられている感じがする。ブータンは、このすばらしい国王をもっと映せばいいのに、タイ王族も取り巻きも完全に馬鹿にしきった感じだ。
タイ国王は在位年数世界最長の国王ということを盛んに宣伝しているが、日本の皇室が「存続年数最年長」であることは、タイ人は誰も知らないのではないだろうか。
天皇に対するタイの扱いは、明らかにアメリカ以下だと思う。アメリカでは、日本の天皇は英国王並みの待遇を受けると聞いている。
しかし英国王は、戴冠60周年くらいでタイのようなイカガワシイ国には出向かない。これが重要なことである。
天皇がタイに行ってしまった以上、このような粗略で失礼な扱いを受けることは必然だった。
訪問しなければならない(訪問させなければならない)義理があったとしたら、それがわが国の弱みだったということになる。
タイという国はこのように、(白人でない限り)「行ってしまった者が負け」の国である。
かかわってしまったのがそもそもの間違い、まずもってかかわり合いにならないのが上策、という国はアジアには少なくない。
タイもまたそのタイプの国のひとつであるということの認識を、明確にしておく必要があると思う。そうしないと、あとあと後悔することになる。
私は、将来の独立を志す深南部のみを旅し、マレー系のみと交流してタイを出る予定である。
13日も両陛下に関する報道は非常にあっさりしたものである。ホテルにあるタイ語新聞には両陛下の写真がまったく載っていない。
午前中にチュラロンコン大学を訪問なさったのだが、そのことにまったく触れないテレビニュースもあった。
昨日から比較的露出度が大きかったのはモロッコの白人王妃とタイ王女との会談など。
タイ国王は"Maharaja"と呼ばれているようだが、他の国の君主は、天皇陛下もモナコ公もリヒテンシュタイン大公も、みんな"pra racha"でひとくくりだった。どこかの国の「日王」と同じであろう。
天皇皇后両陛下がタイで軽んじられるのには、日本政府だけでなく、在タイ日本人にも問題があると思う。
日本旅行のできるタイ人は限られているから、一般タイ人は在タイ日本人を見て日本という国に対する評価をし、態度を決める。
在タイ日本人が天皇を尊ぶ気持ちをひごろからはっきりと表示していたならば、このような扱いにはならなかったと思う。
世間の狭いタイ人には理解が難しいことだとしても、日本人と少しでも縁のあるタイ人には、「タイ人にとってはタイ国王が一番かもしれないが、われわれには天皇があり、われわれにとっては天皇が一番なんだ」ということをちゃんと伝えておく必要がある。
しかしながら、それを怠って、かえってタイ国王を自分の国王のようにあがめている在タイ日本人が多い。タイヲタといわれるような旅行者にもそういう連中が多いのだ。
バンコク週報に反日コラムを書いていた(る?)男が典型例だが、自分の個人的な無能から日本社会に適応できなかったに過ぎないにもかかわらず、自分がうまくいかないのを日本社会や国家のせいにして、タイのように「入りやすい」安易な避難所に逃避してそのまま居ついている日本人が非常に多い国である。(入りやすい国であることは確かだろうが、「出る」のもやさしいとは限らない。)
タイ人は基本的に事大主義者で、状況主義者、機会主義者である。そうでなくても周りにそういう日本人が多ければ、日本人とはそういう人たちなのだと考え、日本および日本人に対する扱いも彼らの傾向にあわせていくということになるのは当然だろう。
両陛下に対するタイの粗略な扱いに加えて、昨晩はワールドカップで日本がオーストラリアに負けて、私も気分が悪かった。
伝え聞くところによれば、在タイの韓国人たちは日本の負け試合に狂喜し大盛り上がりだったそうだ。
そして、注意すべきは、その韓国人たちの取り巻きのタイ人たちも、同じように大喜びを演じていたということ。いま韓国人の勢いがいいと思えば、タイ人はいくらでも彼らのご機嫌を取る。
それ以上に、白人が数世紀にわたり一貫してこの世界を支配しているという事実がある。この事実こそタイ人の社交姿勢を決定する基本中の基本条件、前提中の大前提である。
この事実は欧州王族たちの目に見える資産力からもタイ人にわかりやすいことである。今回タイに来た欧州小国の王家といえども日本の皇室のように質素な家はない。
欧州王族にとっては自分の国はどうでもいいのである。彼らにとって重要なのは血縁で縦横につながっている欧州王族たちのマフィアである。ユダヤ資本など彼らの番頭に過ぎないという人もいる。
そういうことを持ち前の日和見能力で押さえているからこそ、タイ人は一貫して白人に媚びへつらい続けているのである。また、いろんな場面で青年たちにそのような教育もしているのだ。
おそらく、タイのツーリズムにおけるほとんど唯一の接客教育は、「とにかく白人を上げなさい」だろう。
これがタイの処世である。
また、タイ国王や王族たちの目には、欧州王族たちはファランとしてのブランドの高さに加えて、たとえ国は小さくても世俗的な実力は大きい国際的な大資産家仲間、自分たちにより近い立場のともに「権力を有する金融マフィア」仲間と映るだろう。
これに対して、日本の天皇などはタイの富裕な支配層から見れば、「〈ファランに負けた国〉の零落した無一文の旧家の当主」としか見えないだろう。
事実そのような扱いだったのだ。
タイ人にも日本の天皇の尊さは理解できるだろう、などという幻想は決して抱いてはいけない。
彼らは仏像であれ国王であれ、彼らにとっていちばん神聖なはずのものを、さらに偉そうに見せるためにキンキラキンに飾り立てることに何の疑問も抵抗も感じない人たちなのである。
彼らは、彼らの「高貴なもの」を金色で塗り固め、電気を使い、さらにパチンコ屋のネオンのようなもので飾り立てることを好む人たちである。上流であろうと下流であろうと、教育があろうとなかろうと、タイ人のこの嗜好は一貫している。
したがって、われわれが高貴な人やものに求めるような、質素ななかにある神聖さとか、ことさら手を加えないことの清さとか、謙虚な態度に表れる本当の高貴さとか、そのような観念はタイ人にはまったく理解できない。
このような事柄の理解能力では、タイ人は上流であれ下層であれ、教養ある白人にはるかに劣る。
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両陛下がタイ国王晩さん会 各国の王族らと
【バンコク13日共同】タイ訪問中の天皇、皇后両陛下は13日夜(日本時間同)、バンコク市内の王宮でのプミポン国王主催の晩さん会に出席された。
晩さん会には、祝賀行事に参列した25カ国の王公族らが招かれた。プミポン国王夫妻ら王族が出迎え、華やかな雰囲気に包まれた。国王は「この場がお互いの国家、国民の友好の進展に資するだろう」とあいさつした。天皇陛下のスピーチは設定されなかった。
Author:Kuantan
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